人生には、病気・ケガ・事故・災害など、予期せぬ出来事がつきものです。 そんな“もしも”に備える手段のひとつが「保険」。 今回は🦊コンたちが、保険の考え方と選び方をやさしく解説します。
導入ナレーション
ある日曜日。商店街のイベント帰りに立ち寄ったカフェで、コンたちはコーヒーを飲みながら話し込んでいた。 「最近、保険の見直しってよく聞くけど、結局どんな保険が必要なんだろう?」── ポコの一言から、今回の“リスク管理”の話が始まります。
🦊コンと仲間たちの会話
🦝ポコ「うちも子どもが生まれてから保険を見直したけど、種類が多すぎて迷うんだよな。」
🐰ミミ「私も社会人になって“医療保険どうする?”って聞かれたけど、正直よくわからなくて……。」
🐹キュン「ぼくはまだ高校生だけど、“保険=なんとなく安心”っていうイメージしかないや。」
🦊コン「みんなの感覚、すごく大事だよ。 ただ、保険って“安心を買う仕組み”ではあるけど、入ればいいというものでもないんだ。」
🦊コン「たとえば、一般的なサラリーマンが腎臓がんで10日間入院して手術した場合、 自己負担ってどれくらいになると思う?」
🐰ミミ「100万円くらいかかりそうですけど…。」
🦊コン「健康保険がなければそのくらいかかるね。 でも日本の医療制度には『高額療養費制度』があるんだ。 これを使えば、所得にもよるけど、月の自己負担はおおよそ9万円前後で済むことが多い。 つまり100万円の治療費でも、最終的に支払うのは約9〜10万円ほどなんだ。」
🐹キュン「そんなに減るんだ!公的な制度ってすごいね。」
🦊コン「そう。だから医療保険は、“この上限を超える部分”や“入院時の雑費・収入減少”に備えるものなんだ。 すべての医療費をカバーしようとする必要はない。 貯金があれば、保険に入らず対応できるケースもあるよ。」
🦝ポコ「保険に入りすぎて貯金できなくなるのは本末転倒だよな。」
🦊コン「本当にその通り。 FPの考え方では、“貯蓄で対応できないリスクだけ保険で備える”のが原則なんだ。 安心のために保険を増やすより、まず貯蓄体力をつけることが大事なんだよ。」
🦊コン「もう一つ考えてみよう。 45歳の一般的なサラリーマンが亡くなった場合、 家族には公的な制度からどれくらいお金が入ると思う?」
🐰ミミ「遺族年金って言葉は聞いたことありますけど、具体的な金額はわかりません…。」
🦊コン「会社員なら“遺族基礎年金+遺族厚生年金”が支給される。 たとえば妻と子ども2人がいる場合、年間およそ遺族基礎年金122万円+遺族厚生年金40〜70万円で、 合計160〜200万円程度が受け取れるケースが多いんだ。」
🐹キュン「思っていたより少ないね…。」
🦊コン「そう。生活費・教育費・住宅ローンを考えると足りないことが多い。 だから、不足分を補うのが生命保険の役割なんだ。 “遺族年金+生命保険+貯蓄”の3本柱で、家族の生活を守る仕組みを作ると安心だよ。」
🦊コン「じゃあ次の質問。 もし同じ45歳のサラリーマンが事故に遭って寝たきりになってしまったら? この場合も、国から支援があるんだ。」
🐰ミミ「それって障害年金ですか?」
🦊コン「そう。働けなくなった人には『障害基礎年金+障害厚生年金』が支給される。 重い障害(1級・2級)だと、年金額はだいたい年間120〜180万円程度(収入や等級で変動)。 さらに、40歳以上なら介護保険制度も使えて、 介護サービスの自己負担は原則1割〜3割で済むんだ。 たとえば要介護3なら、介護サービス費用の月12〜15万円のうち、 実際の自己負担は2〜4万円程度になることもある。」
🐹キュン「へぇ〜、寝たきりになっても国からの支援があるんだね。」
🦊コン「そう。でも、実際には介護ベッド・リフォーム・収入減など、 制度だけでは賄えない出費も多い。 だから“介護保険”や“就業不能保険”で補う人もいるんだ。」
🦝ポコ「なるほど。医療・死亡・介護って、どれも“家計に大きく響くリスク”なんだな。」
🦊コン「じゃあもう一つ。 車の事故で相手の命を奪ってしまった場合、損害賠償はいくらくらいになると思う?」
🐹キュン「……何億円とか…?」
🦊コン「そう。実際に1億円を超えることもある。 ただし、全員が加入している自賠責保険は上限が3,000万円。 つまり、残りの7,000万円以上は自腹か、任意保険でカバーするしかないんだ。」
🐰ミミ「任意保険って“義務じゃない”だけで、本当は必要なんですね…。」
🦊コン「そう。法律上は“任意”でも、現実的には人生を守るために必須。 自動車を持つなら、対人・対物無制限の補償に入っておくのが常識だね。」
🦊コン「ちなみに、キュンも自転車に乗るよね?」
🐹キュン「うん、学校も買い物もいつも自転車!」
🦊コン「それなら覚えておくといいよ。 自転車で歩行者にケガをさせたり、命を奪ってしまった場合、 数千万円単位の賠償を請求されるケースもある。 実際、過去の判例では約9,500万円の賠償命令が出たこともあるんだ。」
🐹キュン「えっ!?自転車でもそんなに…!?」
🦊コン「そう。だから、自転車に乗る人は個人賠償責任保険に入っておくことが大事だよ。 火災保険や自動車保険に“特約”としてつけられる場合も多いから、 家族で確認してみるといいね。」
🐰ミミ「知らなかった…。保険って“車だけ”じゃないんですね。」
🦝ポコ「保険って、“安心のためにとりあえず入るもの”って思ってたけど、 実際は“公的保障+民間保険+貯蓄”のバランスで考えるんだな。」
🦊コン「まさにそれ。 “わからないから全部保険に入る”のではなく、 まずどんなリスクがあるのか、どこまで公的制度で補えるのかを知る。 その上で、足りない部分だけを保険でカバーする── これが賢いリスク管理の第一歩だよ。」
🦊コンのまとめ表
| リスクの種類 | 備えの方法 | ポイント |
|---|---|---|
| 病気・ケガ | 公的医療保険+高額療養費制度 +医療保険 | 医療費の多くは制度でカバー 上限超過分や収入減に備える |
| 死亡(家族の生活保障) | 遺族年金+生命保険 | 遺族基礎122万円+厚生40〜70万円 =160〜200万円 足りない分を保険で補う |
| 介護・就業不能 | 介護保険制度+障害年金+民間保険 | 制度利用で自己負担1〜3割 介護・収入減リスクは 民間保険で補強 |
| 自動車事故 | 自賠責保険+任意保険 | 自賠責上限3,000万円 対人・対物無制限が望ましい |
| 自転車・日常事故 | 個人賠償責任保険 | 特約で加入可 自転車事故でも高額賠償のリスク |
| 生活防衛 | 貯蓄・保険・公的保障のバランス | 過度な保険で貯蓄できない状況 を避ける |
FP試験チェックポイント
- 保険は「経済的損失の補填」が目的
- 高額療養費制度で医療費負担を軽減できる
- 遺族年金は「基礎122万円+厚生40〜70万円」程度
- 障害・介護には「障害年金」「介護保険制度」で支援
- 自賠責保険の死亡補償は上限3,000万円
- 任意保険・個人賠償保険は“リスク移転”の代表例
- “必要額ベース”で合理的に保険を選ぶ
一言まとめ
「保険は“安心のためにとりあえず入る”ものではなく、 “必要なリスクに備える”ために選ぶもの。 公的制度でカバーできない部分を見極め、ムダのない保険設計をしよう。」
次回予告:
第10話:ライフプランとマネープラン ─ 人生設計から考えるお金の流れ
💡挿入資料提案
・【図】高額療養費制度の自己負担上限(一般所得:約9万円)
・【図】遺族年金の構成と支給額モデル
・【図】介護保険と障害年金の支援関係
・【図】自賠責・任意保険・個人賠償の補償範囲比較