「FXは少ない資金で大きく稼げる」—— そんな謳い文句を信じて、「FXは難しい」という話を無視して始めた。
私もそのひとりでした。
ゲームが好きな人や、お金を増やすことに興味がある人なら分かるかもしれません。
最初のうちはチャートを眺めるだけでワクワクして、お金が増えていく感覚が楽しくて仕方なかった。
気づけば、人生そのものが“お金を増やすゲームのように思えていたのです。
しかし、その“ゲーム”の終わりはあっけないものでした。
結果は、1ヶ月もしないうちに100万円が消えました。
けれどこの失敗が、いまの私の投資観の“原点”になっています。
FXとは? そもそもどんな仕組みなのか
FX(Foreign Exchange)は、異なる2つの通貨を交換して利益を狙う取引です。
たとえば「ドルを買って円を売る」「ユーロを買って円を売る」といった形で、為替の上下によって利益や損失が出ます。
特徴は、レバレッジ(少ない資金で大きく取引できる)と、24時間取引できる点。
一見“自由で稼ぎやすそう”に見えますが、裏を返せば常に値動きにさらされる世界でもあります。
FXと株式投資の違いをひとことで言うなら
- FX:短期の値動きを当てる「相場の勝負」
- 株式投資:企業や経済の成長に乗る「時間を味方にする」
つまり、FXは瞬間的な判断力の勝負、株式投資は長期的な仕組みの勝負です。
私はこの違いを、身をもって知ることになります。
FXのトレード方法には4つのタイプがある
スキャルピング(数秒〜数分)
ごく短い時間で売買を繰り返し、少しの値動きを積み上げる手法。
デイトレード(1日完結)
その日のうちに建玉を閉じるスタイル。経済指標など日内イベントの影響を受けやすい。
スイングトレード(数日〜数週間)
数日のトレンドを追うタイプ。世界情勢や政策などファンダも考慮。
スワップ投資(金利差を狙う長期保有)
金利の高い通貨を買い、低い通貨を売って日々もらえるスワップポイント(金利差)を狙う手法。
たとえばメキシコペソや南アランドを保有すると毎日スワップがつきますが、為替が下がれば一瞬で吹き飛びます。
当時の私は、典型的な“負ける側”の人間だった
- 投資と投機の違いを理解していない
- 「テクニカルを覚えれば勝てる」と思い込んでいた
- レバレッジを「リスク」ではなく「近道」だと思っていた
- 損切り・利確のルールがなく、感情で取引していた
- 損を取り返そうと“リベンジトレード”をしてさらに損失
- 勝率の高いタイミングを待てず、焦ってポジションを取る
- ファンダメンタルズを軽視していた
そして何より、「とにかく早く儲けたい」という気持ちに支配されていたのです。
忘れられない失敗
忘れもしません。
ある日、仕事中にデイトレを仕掛けていて、含み益が30万円を超えていました。
「今日は勝てる」と思っていた矢先、仕事が立て込み、2時間スマホを触れないうちにマイナス10万円に転落。
仕事中は値動きが気になり、本業への集中力も落ちる。
取引のタイミングも逃し、結果はどちらも中途半端。
今思えば、仕事の合間にFXをやることにメリットはひとつもありませんでした。
なぜFXは勝ちにくいのか?
FXが難しい最大の理由は、ゼロサムゲームだからです。
誰かが利益を得れば、誰かが損をする。
しかもスプレッド(取引コスト)や税金で、私たちは常に“不利な位置”からスタートしています。
短期トレードで勝ち続けるには、他の人よりも早く・正確に・冷静に判断する必要があります。
つまり、運や副業感覚で勝てる世界ではないのです。
勝てる人の特徴
- 金利や政策、世界の資金の流れを常にチェックしている
- 勝率の高いエントリーまで無駄に取引しない
- 損切り・利確・ポジションサイズのルールを徹底
- 相場の変化を学び、柔軟に対応する
- 「短期投資=ゼロサム」という構造を理解している
要するに、冷静さ・規律・知識を兼ね備えた人だけが生き残れる。
私は身をもってその現実を知りました。
それでも「お金を増やしたい」気持ちは消えなかった
FXで痛い経験をしたあとも、「お金を増やしたい」という気持ちは消えませんでした。
「自分でやるのは向いていない。ならばプロに任せよう。」
そう考えて入ったのが、保険による資産形成。
“確定でお金が増えるなら最高じゃん”と思って契約したその保険が、
のちに私を株式投資の世界へ導くきっかけになります。
