お金を“守る”貯蓄と、“増やす”投資。どちらも大切ですが、目的もリスクもまったく違います。 今回は、🦊コンたちがFP3級の基本「貯蓄・投資・投機の違い」を、実例を交えてやさしく解説します。
導入ナレーション
夕暮れのカフェ。いつもの勉強会の終わり際、ミミがぽつりとつぶやいた。
「貯金しても全然増えないんですけど、やっぱり投資しないとダメなんですか？」 ──その一言から、今日のテーマが始まった。
🦊コンと仲間たちの会話
🐰ミミ「銀行にお金を預けても、利息ってほとんど増えないですよね。 投資ってやった方がいいのかなって思うんですけど、怖くて…。」
🦊コン「うん、いい質問だね。 まず“貯蓄”と“投資”の違いを整理してみようか。」
- 貯蓄： 元本（もとで）が保証され、安全性が高い（例：銀行預金・定期預金）
- 投資： 元本は保証されないが、リターン（利益）を得る可能性がある（例：株式・投資信託）
🦝ポコ「つまり“安全に守るお金”が貯蓄、“将来に向けて増やすお金”が投資ってことだな。」
🐹キュン「でもさ、ニュースで“投資に失敗して大損”って聞くと、やっぱりギャンブルっぽく感じるよ…。」
🦊コン「そこが大事なポイントだね。 実は“投資”と“投機”は別ものなんだ。」
- 投資： 企業や社会にお金を出して、その成長を長期的に支える（目的は“資産形成”）
- 投機： 短期の値動きで利益を狙う（目的は“売買差益”）
🦊コン「たとえば、株を10年持つのは“投資”。 でも数日で売り買いして値上がりを狙うのは“投機”。 ギャンブルと混同されやすいのは、この“投機”のほうなんだよ。“投機”の例としてはFXや株の短期売買があるね。“投機”でレバレッジをかけたり信用取引をすると借金を背負うこともあるけど、一般的な株式投資では借金を背負うことはないよ。」
🦝ポコ「なるほどな。 ボクがやってるのは企業の業績や配当を見て長く持つタイプだから“投資”のほうだな。」
🐰ミミ「私みたいな初心者でも“投資”はできるんですか？」
🦊コン「もちろんできるよ。 ただし順番が大事。まずは生活費の3〜6か月分を“貯蓄”で確保して、余裕資金を“投資”に回すんだ。 最初から全部投資に突っ込むのはリスクが高いからね。優良なインデックス投資でも一時的に元本の半値くらいまで下がってしまうことはまれにある。インデックス投資は未来の経済発展に投資する行為だから、数年間そのままま積み立て続ければまたプラスに戻ってくる可能性が高いけど、生活に必要な貯蓄を確保していないと怖くなって手放してしまうかもしれないからね。」
🦝ポコ「ボクも最初は貯金からだったな。 でも金利が0.001％じゃ、100万円預けても年10円しか増えない…。 だから一部を株式に回して、配当で増やすようにしたんだ。」
🦊コン「銀行の定期預金もいい例だね。 たとえば100万円を年5％の単利で10年間預けると、毎年5万円ずつ増えて10年後は150万円。 これが“単利”の考え方。元本にだけ利息がつく仕組みなんだ。」
🐹キュン「“単利”って、増え方が毎年同じなんだね。じゃあ“複利”は？」
🦊コン「“複利”は利息にも利息がつくんだ。 同じく100万円を年5％で10年間“複利”で運用すると、10年後は約162万9,000円。 “雪だるま式に増える”って言葉がぴったりなんだよ。」
複利は「利息にも利息」が付くため、年数が進むほど差が広がる。
🐰ミミ「10万円以上の差になるんですね！ それなら、早く始めた人が有利なのも納得です。」
🦊コン「そうなんだ。 投資では“時間”が最大の味方になる。 短期で儲けようとする“投機”とは違って、コツコツ長く続けるのが“投資”の基本なんだ。」
🦝ポコ「つまり、焦らず育てるってことだな。 ボクも10年後を見据えて持ち続けるタイプだから、まさに投資だ。」
🦊コン「うん。“単利で守り、複利で育てる”。 そして“投資で社会を応援する”という考え方を持つと、続けやすくなるよ。」
🦊コンのまとめ表
| 区分 | 貯蓄（例：普通預金） | 投資（例：株式・投資信託） |
|---|---|---|
| 目的 | 将来や緊急時に備える | お金を増やして資産形成する |
| リスク | ほぼなし（元本保証） | 価格変動などで損失の可能性あり |
| 利息の仕組み | 単利（元本のみに利息） | 複利（利息にも利息がつく） |
| 期間 | 短期〜中期 （いつでも引き出せる） | 中長期 （5〜20年などの時間をかける） |
| 性質 | 安全・流動性 | リターン・リスク分散・成長 |
| 関連用語 | 定期預金・普通預金 | インデックス投資・ETF ・つみたてNISA |
FP試験チェックポイント
- 単利＝元本のみに利息がつく（定期預金など）
- 複利＝利息にも利息がつく（長期投資の基本）
- 投資と投機の違い：目的が「育てる」か「短期で当てる」か
- 投資の三原則：長期・積立・分散
- 投資を始める前に生活防衛資金を確保する
一言まとめ
「単利は“守る”、複利は“育てる”。 投資はギャンブルではなく、“社会と自分を育てる行動”なんだ。」
